五月雨や色紙へぎたる壁の跡      

元禄四年(一六九一)四十八歳の作である

句意

 

 梅雨期のじめじめと湿っぽい空気の漂う部屋で、壁に貼った色紙の剥がされ

たあとがふと目について、それが妙にもの悲しさをそそる。

 

 

「明日は落柿舎を出でんと名残惜しかりければ、奥・口の一間一間を廻り

との前詞がある。

 

「嵯峨日記」最終日、五月四日の作である。

初五と下の句が微妙に交響して侘しい心情を醸し出している。

 

句碑

 

右京区嵯峨小倉山 落柿舎

 

 

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