口切に堺の庭ぞなつかしき
元禄五年(一六九二)四十九歳の作である
句意
いま口切の茶会に列して見わたすに、茶室も茶庭も数奇をこらしてまことに
趣きが深く、泉州堺の利休の茶庭が、懐かしく思い合される。
「支梁亭口切」との前詞があり、小名木川界隈の「支梁亭」での茶会での発
句である。そして「口切」とは初冬十月、新茶を詰めておいた茶壷の口を切り、
茶会を催すことである
「口切」の席で、茶庭を賞した挨拶句であり、「堺の庭」は千利休が松島の雄島
の景を取り入れて設計した有名な茶庭である。
句碑