飛距離の計算方法と考察


飛距離に関して物理的計算式を挙げると以下の5つとなります
ただし理論値であって 実際は諸々の条件が複雑に絡まっていることを理解してください。

   

 L … 飛距離(m)  V … 初速度(m/s)  θ … 仰角  g … 重力加速度(9.8m/s) 

   
 t … 到達時間(s) 

   
 H … 最高点(m)

    
 F … 遠心力(遠投力)(N)  m … 天秤の質量(Kg)  r … たらし(m)


@式から 飛距離は初速度と仰角で決まり 天秤の重さには関係しないことが分かります。また仰角は45度のとき最大の飛距離を得られます。

例えば150m投げたとすると初速度は@式を変形して

  
  
これに L=150、g=9.8 θ=45を代入すると
V=38.34m/s つまり 時速138キロ(138km/h)で飛んでいったことになります。
着水までの時間はA式より t=5.53秒 最高点はB式より H=37.5メートルです。

この時の遠投力は 25号の天秤(94g) たらし1.5mだったとすると C式より F=92ニュートンだったことになります。

@式より飛距離を稼ぐには天秤の初速度を上げる必要がありますが C式より遠投力は初速度の2乗に比例しますから筋力UPイコール飛距離UPとなります。
ただ 非力な人間は遠投できない かと言うとそうでもなさそうで
C式を変形して


   
初速度を上げるには r つまりたらしを長くして m つまり天秤を軽くすると よさそうです。
 この方式が適用できるのは回転投法のように天秤をある程度回転させて遠心力を利用した場合です。しかし回転投法やスウィング投法でも180度前後の回転が得られる程度でしかありませんから、参考程度でしかありません


 オーバースローやスリークォータースロー投法では竿をしならせることによって生じる反発力で天秤を遠くへ飛ばすことが主であると考えられます。

  
 F=K・X  ・・・D  F…力(N) K…反発係数  X…変形量(m)

 竿をしならせる前工程として 
天秤を竿に乗せる必要がありますが このためには (体験的に)天秤にある程度の質量が必要で 同様にたらしもある程度の長さが必要になってきます。

 ん〜難しくなってきました。                        (060401記)

1、慣性の法則

 私たちは経験上、柔らかい竿を振ったとき穂先が遅れて動くことを知っています。これは@竿が柔らかいほどA竿が長いほどB竿を早く振るほど竿が曲がる と言うことです。

 慣性の法則 によると「質量のある物体は 静止しているものは静止し続けようとし、等速運動しているものは ず〜と等速運動しようとする」のです。そしてこの傾向は重い物ほど、作用される力から離れている物ほど顕著にあらわれるのです。


 つまり 穂先につながれている錘は たらしが長いほど ここに居る!とすね 錘は重たいほど 動きたくない!ど駄々をこねるわけです。
加えて 竿が柔らかいほど、竿が長いほど 竿を早く振るほど 穂先も動きたくな〜いと言い出して 錘に力が伝わるまでに時間がかかるため錘は益々砂浜にしがみ付いて離れようとしない。
竿は竿で 負けてなるものかとシナリを増しパワーをかける。そうすると ついには錘が負けて飛び出す。 


ん〜遠投するにはパワーとスピードってことかなぁ?
 
2、作用点の周速


 今度は硬い竿を想像してください。リールシートの位置を支点として 力点である竿尻を動かすと 作用点である穂先が力点とは逆方向に動きます。この時の穂先の速度ってどのくらいなんでしょうか?
例えば リールシートを中心として 竿尻を90度(1/4回転))動かしたとします。要した時間が0.25秒でした。リールシートから竿尻までを84cm(0.84m)だとすると
竿尻のスピード(周速)は
 2×3.14×0.84÷4÷0.25=5.2752(m/s)=18.99(km/h)

リールシートから穂先までの距離を4.05−0.84=3.21mとすると
穂先のスピード(周速)は
 2×3.14×3.21÷4÷0.25=20.1588(m/s)=72.57(km/h


リールシートの位置を支点にした場合穂先の速度は竿尻の約3.8倍になるんですねぇ。
リールシートを固定せずスナップを使って回転速度(回転数)をあげてやると 益々穂先の速度(周速)UPが期待できます。周速がUPすれば遠心力(錘が外へ放り出される力 C式参照)のUPにもつながるなぁ。

TVで野球をみていると、野手同士がキャッチボールしているのをよく見ます。手首のスナップをつかって素早く投げています。投げ終わった腕は相手に向かってまっすぐ伸び、いや指先までまっすぐ伸びているときさえあります。

かたやスリークオーターで力投するピッチャーの腕は 大きく伸びて弧を描くように回転して(すこし状態を外側に傾けて)投げ終わった腕は反対の腕のわきの下へ収まっています。かの横山武さんの回転投法を見ていると 同じようにリールシートを持った腕は大きく伸びながら回転しています。腕を伸ばすことで竿の長さを最大限に利用しているよに見えます。

体を中心にして回転したとき 90度を0.25秒かかったとすると 穂先のスピード(周速)は
 2×3.14×4.05÷4÷0.25=25.434(m/s)=91.56(km/h) ……凄い!


                                            (060530追記)