伊賀線に乗っていると田圃の真中にこんもりした森を見かける。垂園森(たれそのもり)と云われている
森の中に小さなお社があって神さまをお祭してある
かの 紀 貫之も  

われならて誰其森の玉櫻
    たまさかにもや色にそむくべき

と 詠んでいるから かなり昔から存在していたと思われる。
伊賀には昔から”森”が存在していたようだが 今は所在すらわからないものが多い


射手の森     長田庄 射手村
猿田彦ノ神社有 山ノ口ヨリ十町余奥ナルヨシ旧記ニ有 猿田彦ノ別名ハ太田命 是白髭明神ノ事也
天正ノ兵乱ニ焼失シテ遺跡知ラズト云


恋の森       府中と羽根ニ入クミノ地
昔ハ府中ノ地カ 往日此森ニ社頭有リ貴布祢ノ宮(きふねのみや)ト号ス 神體は高霊ト云龍神也
此神男女ノ恋路ヲ守ル故ニ其垂迹ノ地を恋ノ森ト云
郷人恋ノ森を貴布祢ガ森ト云

        
花園の森     一宮村ノ北 一説ニ佐那具ノ地
敢国明神祭礼仮殿也 此北ノ川端ヲ花園河原ト云 伊賀国守護ナキ時 クロタウト云神事有      
数勢郡(むらがる)故ニ此河原ニテ列座有


風の森      上柘植村
風ノ宮ヲ建 風神ヲ鎮座スルニ依テ風ノ森ト云 盛衰記ニ倉部山風ノ森トアレハ路辺ナルベシ         


鷺が森      郡村 下郡

白鷺(しらさぎ)ハ住吉ノ愛鳥也 住吉勧進ノ時此森ニ白鷺数千族(むれ)居ル 依テ鷺ガ森ト名ク
今ノ世モ郡邑ノ民族白鷺ヲ食セズ


垂園の森    市部村  或ハ 誰其社(たれそのもり)ニ作ル  
垂園明神ト号ス 祭所大物主(おおものぬし)是三輪明神ト同躰也
神功皇后ノ御宇ニ造国分部ノ真人之ヲ祭ル 大物主ハ大己貴(おおなむち)ノ別名ニシテ
素盞烏(すさのう)ノ御子也


哀其の森    市部村  淡冷園社(あわれそのもり) 或ハ 榊ノ森
当社ハ天薬神(てんやくしん) 素盞烏尊牛頭天王(ごずてんのう)ト化シテノ別名也


長田の森    長田村  或ハ花園ノ森


服部の森    服部村 


藤の森      佐那具村 


鹽の森      千貝村 


泥田の森    真泥村 


穴師の森    或ハ千千ノ森  


大将軍の森  大屋戸村