松尾芭蕉 �ｪ永21年（1644）〜元禄7年（1694）

「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人也」という一文を耳にしたことはないでしょうか？そう、これは松尾芭蕉が記した紀行文「奥の細道」の前文です。
閑かさや　岩にしみ入る　蝉の声　古さとや　ほぞのおに泣く　としのくれ
数えあげればまさにきりがないほど多くの名句を残した松尾芭蕉は、閑寂の美を詠いあげる俳風「蕉風」を開き、俳諧を真の芸術にまで高めました。松尾芭蕉の生誕地は諸説がありますが、なかでも有力地として伊賀町の柘植があげられています。松尾儀左衛門の二男として生まれ、幼名は金作であったそうです。芭蕉がふるさとの柘植へ戻ったという記録はないのですが、同じくふるさとを柘植とする文豪横光利一は「芭蕉の帰られないことも好きならばこそ帰れない、といふ苦しさ、これは文人ならではわからぬことです」と記しています。伊賀町では、生誕二百年を記念して芭蕉公園を設備したのをはじめ、命日の11月（旧暦10月）12日には萬寿寺で「しぐれ忌」を催し、俳聖松尾芭蕉を偲んでいます。