自治能力の向上
市町村合併は、自治能力の向上のために行うものです。21世紀は地方分権が本格的に到来し、市町村中心の行政が運営されていくものと考えられます。
では、なぜ市町村なのでしょうか。市町村は基礎的な自治体であり、総合的な行政サービスを提供する主体であるからです。つまり、市町村は住民との距離が最も身近な行政主体であり、住民の声が最も反映しやすい体制であるといえます。そして、縦割りの弊害を無くし、住民の選択と負担により効率的な行政を行える体制であるといえます。このため、市町村中心の地方自治こそ、真に住民王権としての地方分権が実現できたといえる地方行政体制の究極的な理想像なのです。
その理想の実現のためには、市町村の自治能力の向上が不可避です。とくに分権時代は地域間競争の激しい時代であり、住民の期待に応えられるサービス体制を確立するためには、人材の確保が急務となっています。市町村の規模が大きくなれば、人の層が厚みを増し、専門的人材の確保や、最先端の課題となっている分野へ職員を研修へ参加させることができます。
かつて昭和の大合併では、最低人ロ8,ooo人を目標に合併が推進されました。今やその当時に比べ、市町村の行うべき事務は飛躍的に増え、当時の3-4倍はあると言われています。このため、規模拡大の必要性は、極めて大きいものがあります。
総合的な行政体であれば、何でもできる反面、何でもしなければなりません。社会情勢の変化等を踏まえ、福祉、環境、教育など、住民に身近な分野で常に新しい課題が今後でてくると予想されますが、国や県が丁寧に指導してくれる時代ではないので、市町村が自ら解決しなければなりません。このように、市町村合併による規模の拡大は、市町村を中心とした自治体制の確立のためには不可欠であると考えます。