形式
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2ウェイ ハスレフ方式 コンソール型 |
使用ユニット
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低音用30cm(PW-125)
高音用5cm(TW-25) |
インピーダンス
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8Ω
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再生音域
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50〜15000Hz (クロスオーバー周波数:1500Hz)
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出力音圧レベル
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96dB/W/m
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定格/最大入力
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定格15W/最大20W
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寸法 |
W650 × H880 × D445
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重量 |
42kg |
発売年 |
1958年(〜1991年) |
定価 |
350,000円/本(製造終了時)
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1. はじめに
たまたま2S-305を入手したのですが、有名な機種の割にはWEB上でも情報が少ないので、諸元や実機の構造等をまとめながら書いていこうと思います。 |
2. 2S-305販売価格の推移
実に30年以上の長期に渡って製造されつづけたため、途中何度も価格改定が行なわれています。
・1958年 |
47,000円 |
製造開始。ようやくLPが出始める時代。 |
・1970年 |
79,800円 |
真空管からトランジスタに切り換わった頃。 |
・1980年 |
250,000円 |
AUDIOブーム到来。 |
・1986年 |
350,000円 |
AUDIOからAVへ需要が変化し始めた頃。 |
・1991年 |
? |
製造中止。AUDIO冬の時代始まる・・・ |
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3. 姉妹機、後継機
(1) 2S-660 (1955年)
・オルソン型エンクロージャーで、コーナーはラウンドでなく切り落とし
・色は木目
(2) AS-3001 (1966年?)
・SP部は2S-305とほぼ同一
・パワーアンプ(おそらく球アンプ)内蔵
・台車付?
・色はグレー (協会色)
(3) AS-3002P/MONITOR-3 (?年)
・SP部は2S-305とほぼ同一
・出力100Wのパワーアンプ(MA-100P)内蔵
・台車(MC−1385)付
・色はグレー (協会色)
(4) 2S-205 (1960年)
・2S-305を小型化した姉妹機
・色は木目
(5) 2S-305D (?年)
・2S-305を民生用とした機種
・高音用ATT付き(3段階切り替え)
・色は木目
・サランネット取外し可
(6) 2S-3003 (1989年)
・2S-305の後継機
・色は木目
4. 実機の調査結果
(1)外観等
・サランネットは取外し不可。
(2S-305Dは取外し可能)
・裏板はネジ止め(10箇所)で、取外し可能。
ネジ部はすべてザグリ加工(φ28×深さ5、座金付)をしてあり、ネジの頭が出っ張らないようになっている。
・入力端子はBTS4P。
但し1974年頃製造のものからキャノンコネクタに変更されている。
端子はキャビネット側板上の裏板に近い位置に、左右計2個所ある。
端子は側板にザグリ加工して取り付けられており、専用の端子蓋をするとほぼ面位置となる。
4Pのうち使用しているのは2Pのみで、1番ピン:+、4番ピン:−。
・型番、BTS規格番号、製造番号、製造年月、メーカーを記載した金属プレートが裏板についている。
本機は、昭和44年製造と記載してある。 |
(2) 内部構造
・配線材は非常に細い。
ユニットとの接続はすべて圧着端子を使用。
配線材の色は、青:プラス、白:マイナス。
・吸音材は、グラスウールをバッフル以外の全面にリベット止め。
・バッフル板は、内側から木ネジ10本でキャビにネジ止めされている。
接合がネジ止めのみか、接着されているかは不明。
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・調整のため裏板を開けてウーハーを外したところ。
(手前のユニット”FOSTEX SLE34W”は、本機とは無関係)
(3) ネットワーク
・低音側は入力端子と直結、高音側のみネットワークを介し接続。
高音用ネットワークは、HP-170
の型番で単品販売されていた物と同一。
金属ケース入り。
−12dB/oct で、Cは8μF 250WVオイルコン、Lは空芯で蝋で固めてあり、Lに直列に10ΩのRが入っている。
※−6dB/oct(+Zin補正用のL)との説もある |
(4) キャビネット
・上・下・側板は18mm厚の合板。
・バッフルは、18mm×2で36mm厚。
但し高音ユニットは、プレスされた金属板?バッフルに取り付けられており、その部分のみ合板がないため板厚が薄い。
・裏板は21mm厚の合板。
・裏板を留める枠は21mm厚合板に、当たり面全体にゴム貼り。
・キャビ内部の補強は、四隅の三角形断面の補強材のみ。
裏板の補強は、断面50×25の補強材を全面に×字型に貼り付け。
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(5) ダクト
・ダクト寸法:W290×H120×D100
・ダクト材料は21mm厚の合板。 |
5. 伝聞と私見
※客観的に正しい保証はありません
(1) 価格について
初期の価格はNHK納入のための協定価格であったため非常に割安で、その後は製造に非常に手間の掛かるキャビネットが災いして急激に値上がりした。
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(2)どこにカネが掛かっているか
ユニットも高能率のアルニコでそれなりに高価なはずだが、何といってもキャビネットに手間・暇・金か掛けられている、と言われている。
但し、中を覗いた限りは、ビックリするほど手の込んだ構造ではない。
合板を曲げたラウンドバッフルと、二重構造の分厚いフロントバッフル、全く衰えることを知らない表面塗装の3点が目玉であろう。
開発費も相当掛かっていると思うが、これは逆に33年もモデルチェンジなしで製造し続けたのだから、十二分にペイしているはず。
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・PW-125の巨大なアルニコ磁石
(30cmユニットです。念のため)
(3) 経年変化(寿命)について
本機は製造後30年経過しているが、若干のメンテを行なったのみで、全く問題のない素晴らしい音を出すことが可能であった。
メンテ箇所は下記のとおり。 ・すでに配線材が非純正品に交換されており、径は太いもののユニットとの接合は裸線のままでネジがユルユル、入力端子のハンダ付けもかなり悪かった。
そこで、純正同様に圧着端子を用いて、太目の線に交換し、ユニットの端子は目一杯締め付けた。
・ユニット(特に低音用)の取付ネジがやはりユルユルだったため、締め直し。
・片chのみ、裏板の合板接着面が所々2枚に剥がれてきて、叩くとビンビン共振するため、その箇所の再接着。
※キャビ側の合板は2本とも完璧な状態を保っています
2S-305については、あるいは一聴して明らかな異常がなければ、古い年式のものでもそれほど心配せずに購入して良いのではないかと思われる。(あとは自分でOHなりチューンアップなり・・・)
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(5)どんな音がする?
非常にくせのない、自然な音だと思います。
球アンプで聴く限り、当たり外れは少なそうな気がします。
(TRアンプだと大外れがあるかも知れません)
価格もビックリするほどは高価ではないし(新品同様でも2本で30万円以内)、置き場さえあれば一応お勧めできるスピーカーです。 |
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