使用球 |
12AX7×4本
12AT7×2本 |
EQアンプ
構成 |
3段K-K NF型 |
寸法 |
W405×D281×H155mm |
重量 |
10kg |
発売年 |
1967年 |
定価 |
88,000円 |
1. CA-303とは
1967年にサンスイ303シリーズの一機種として発売された、山水で(恐らく)唯一の管球式ステレオプリアンプ。
当時、名機マランツ#7・#9はすでに製造中止されていたがそれでも好評を博しており、国内オーディオ専業メーカー御三家(のトップ)の山水もこれら海外製品に対抗できる機種を発表した。それがBA-303パワーアンプとこのCA-303プリアンプである。
その後、LUXからも本格的な管球式プリが多数発売されていくが、その大半はCA-303よりも安価な価格帯の製品であり、#7に真っ向から対抗した国産機はCA-303が最初かつ唯一といえる。 |

リアパネル:初期型はブラックだが、後にゴールドに変更されている。
左端はマイク入力、右側の4端子×2ch分はマルチチャンネル出力端子。
下部中央はマルチ出力用ボリューム。 |
2. 回路
回路的には、#7のデッドコピーとまではいかないが、非常に似通っている。
EQ部の構成は3段K-K NF型(但し2〜3段目は直結)、フラットアンプ部は2段P-K
NF型で、TC回路はマランツ#7同様のNF/CR型混成となっている。
これらは、管球式としては最もSN比の良好な回路構成であり、十分なメンテさえしてあれば現在でも通用する特性が得られる。
#7と決定的に異なる点としては、本体に3chのチャンネルデバイダを内蔵(プリ部と互いに単独使用可)していることが挙げられる。このチャンデバはTr式で、プラグイン基板(ユーザーが交換可)の上のCRの定数でクロスオーバー周波数を変更できる。
また、そのチャンデバ使用時の調整用として、TEST信号発振回路(100c/s・1kc/s・10kc/s)を内蔵している。 |

内部(上面):右上のトランス(2個)はMCカートリッジ用ではなく、ローインピーダンスのマイク用。 |

中央はメインのボリュームで東京光音製。その右の白い卵型の部品は、テストトーン発振用の小型電球。 |

3. 構成・デザイン
使用球は、12AX7×4本(EQ部:2本、フラットアンプ/トーンコン部:2本)と12AT7×2本(EQ/フラット各送り出しカソホロ)で、どちらも松下製がオリジナル。
上記の通り回路的には#7コピーだが、構成・デザインは大きく異なる。
真空管は筐体に内蔵されており、外部からは全く見えない。
ウッドケースは標準添付で、天板には山水お得意の組格子の部分があり、ここを開くとチャンデバのプラグイン基板が交換できる。
筐体はオールAL製で、この点は#7にも匹敵する。但し、使用部品全般としては、東京光音製のアッテネータが勝る以外は#7に敵わない。
パネルデザインは本機独自で、#7の影響は全く見られない。チャンデバ部のツマミ(各chのボリューム)はリアパネルに付いているので、フロント側からはチャンデバ内蔵であることは分からない。 |


組格子の内部は、チャンネルデバイダの回路とプラグイン式のフィルタ回路が入っており、分解することなくマルチ出力の周波数を変更することが可能。 |

プラグイン基板:オプションとして数種類の周波数のものが用意されていた |
4. 現在の状況
当時の国産機としては非常に高価(大卒初任給の4ヶ月分強)であったため、非常に希少で入手はほぼ不可能。
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