サラリーマンの一生 |
城山 三郎 伊藤 肇 |
「辛酸」を書いた城山氏の名前を見て、古本屋で買った。
伊藤氏は評論家である。
昭和55年の対談を載せたものだが、学ぶことが多かった。
一つは、「企業の社会的責任とは何か」と問われて、リコーの二代目社長は、「社員のくびを切らないことだ」ときっぱりと言ったとのこと。当時から、「どこも減量ばやりで、なんでもかでも、人を減らせばいいという考えの経営者が多い」と城山氏が言う。
一つは、「やはり、プロの作家は、たえず締切り、締切りの中で勝負を……、傑作意識、完全意識はいちおう置いといて、ともかく、そのときどきに持っている力をフルに発揮して、勝負をしてみるということだと思うんです。だから逆に、傑作意識、完全意識というのは怖いですよね。」
城山氏の言葉である。傑作意識、完全意識をもっている人の言葉だと思う。
一つは、昔からよく言われる言葉だけれども、「随所に主となれ……」と。これは、どこでも自分が中心になるということではなく、どこへ行っても主体性を失わず、自分を鍛えていくということでしょうね。と、これは、伊藤氏の言葉。僕は、お世話になった方から、以前の職場を離れる時この言葉を贈られたが、そのときは、意味が分からなかった。「ずいしょにしゅたれ」と言われたので、僕は「随所に朱たれ」と思い、赤では過激なので、朱色で納めておけという人生訓かなと思った。
僕は、サラリーマンに違いない。サラリーをもらって生活している。ただし、この対談で言われていた、「仕事は自分でつくるもの」という意見には賛成だ。ただし、与えられた仕事もろくに出来ない自分は困りものだ。弱った。