中年期のこころ模様 |
伊藤 明 |
「前半生の四十歳ぐらいまでは自分が得るものは比較的多い時期、それから後は自分から出してゆくものが多い時期といえるかもしれません。出していくこと、与えることも大切な価値だと考えられればよいのですが、なかなかそうは考えられないところがミソなのです。」なるほど、僕もそういう時期にきているのだと思う。現状に満足するという姿勢ではなく、努力の方向として与えることが大事ということに発見を感じた。
「比較・競争に関して、日本とアメリカの文化ではどこが違うのでしょうか。私の推測では、敗者に対する処遇という点で大きく違っているように思われます。つまりアメリカでは、何か勝負をして、勝った者に対してはむろん称賛するけれど、負けた者に対してもその努力やがんばりをたたえる、つまり勝負の結果は重要だがそのプロセスを評価するという文化的な特性が根付いているように思います。」「比較・競争」が当たり前のアメリカと、表立って闘争的な姿勢を見せない「たてまえ」のある日本が敗者に対する見方に違いがあるのはうなづけます。著者は、この日本の敗者に対する見方が「うつ」を生む背景のひとつになっているといいます。なるほどなぁと思いました。
他にも、家族にも言葉のコミュニケーションが大事といったことや、「日本という国が豊かなのは日本人が貧しいからだ」という社会学者の言葉を紹介をしてくれたり、「うつ」になった時の心得や「うつ」の患者の家族の心得など、勉強する事がたくさんあった。
この本は、あるWEBマガジンの創刊プレゼントに応募して当たったもの。ありがとうございました。