同じ年に生まれて―音楽、文学が僕らをつくった 小澤
征爾, 大江 健三郎 中央公論新社
この本を、奈良市の図書館で借りて読んだ。
印象に残った部分を書き写す。
大江「では、どうやって鎖国をしないでやっていくかというと、世界に向かって開かれた個、個人というものを、そういう自分を若い人がつくることによってです。」
大江「普遍的なスタンダード、人類のスタンダードでもって、日本の文化から社会政治全部考えようじゃないか、ということにまったく賛成です。」
大江「インタープリター(通訳、解釈してやる人)、メディエイター、メディエイトする(間をとりもつ人)」
小澤「その曲を自分で書いたというぐらいに納得して咀嚼してやると暗譜がやりやすい。暗譜することが大事ではなくて、やっぱり勉強することが大事」
大江「僕も本にどんどん書き込んでいきます。もう40年も午前中の半分は、たいていそれをやってきました。」
これらは、もちろん、つながった文章ではなく、印象に残った文章のみ、取り出したもの。これだけでは、なんのこっちゃ、という感じだろうが、僕には、大切な文章として残しておきたいもの。
二人の巨人が、日常、何を考えているのか、といったところが対談という形で表れていて興味深い。この対談の時、二人は60代の半ば。私が同じ年になって考えることは、たぶん足元にも及ばないものだろう。借金の苦労話やまわりに対する愚痴などが関の山。願わくば、この二人の本を読んだということを忘れないでおきたい。