高齢者医療確保法案って何? −06.05.10−
今の国会で審議中の医療制度改革関連法案には、現行の老人保健法を改める「高齢者の医療の確保に関する法律案」なるものが盛り込まれている。これは、医療費適正化の推進、医療保険者が40歳以上の加入者に健診・保健指導を義務化、65歳〜74歳の前期高齢者医療制度における財政調整、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設が主な柱。つまり、このまま高齢者が増えると今の医療制度が維持できないので、国の負担を増やさず、いかに、医療制度を持続させるか、頭をひねった末に出てきたもの。医療費適正化は当然必要だが、国がいうと、「病院が多いから医療費が増えるので、病院を減らす」「長く入院しているので医療費がかかるから早く退院してもらう」といった「適正化」であり、在宅にもどった高齢者の介護で、家族の負担が増えてしまう。
介護保険が「介護の社会化」と宣伝されて導入されたが、結局は、保険料の徴収が目的だったとしか思えない。
医療保険者が健診や保健指導を行うというのも、これは、市町村の仕事ではなかったのか。つまりは、保険財源をあてにしているのだろう。
国は医療保険の介護保険化、つまり、かかった医療費に見合った医療保険料を市町村が決めるという仕組みをねらっている。(これには、市町村が財政的に持たないと難色を示し、都道府県単位の広域連合になったが)こうなると、保険料を抑えるために医療費を抑制するという、損得勘定になっていく。社会保障が崩れてしまう。