Tさんへ
昨日、あなたのお葬式に参列しました。たくさんの方々が、あなたとの別れを惜しみました。本当に悲しいお葬式でした。
あなたは老人保健施設で2年半、勤務をされました。当時は施設が開設して、半年経った時であり、まだ開設当初の混乱ともいえる未整備な状況が続いていました。そんな中で施設のリハビリテーションとリクリェーションの基礎を作っていただいた功労者です。日常の作業療法を通じてのリハビリを始め、入所の方が楽しく過ごしていただくために、何をどうしていけばよいのかについて、介護職員と話し合いながら、その論議や実践の牽引車の役割を担っていただきました。本当に感謝しています。
覚えていますか?施設のクリスマス会であなたが脚本を書き、職員が「白雪姫」や「花咲かじいさん」を演じましたね。その時、あなたは自分の役を演じながら、常にスタッフの演技や動きに目配りをしていました。決して表には出ない裏方であなたが支えてくれたおかげでみんなが安心して動くことができたし、高齢者の方々に楽しんでいただけたのです。
また、朝から手芸を楽しみにされる利用者の方のために、夕方、リハビリルームに一人残って翌日の準備をしてくれたり、手芸作品の展示即売会が近づくとその仕上げに残ってくれました。利用者の方に満足をしていただくためにどうすればよいのかをいつも考えて仕事をされていたのですね。
あなたと一緒に仕事をした人はきっと、あなたのそのよって立つ位置の確かさと姿勢に自らが人と接する際の理想を重ねるのだと思います。
しかし、あなたはもういない。
ご主人が話してくれました。あなたは、葬儀に参列した私たちとあなたのお嬢さんの中に生き続けると。私たちは、あなたに恥ずかしくない仕事をこれからもしたいと念じます。ありがとう。