明けぼのや白魚しろきこと一寸
貞享一年(一六八四) 四十一歳の作である
句意
曙の浜辺で網に掬い上げてみた、一寸ばかりの小さな白魚。その白さが目
にしむようだ。
「まだほの暗きうちに浜のかたに出でて」との前詞がある。
鋭い感覚的な句であり、桑名の東郊、浜の地蔵堂で詠まれた。
「白魚」は一般的には春の季語であるが、この句では「白魚一寸」として冬に
扱った。初案は「雪薄し・・・・・」であったが、雪の白と白魚の白とで印象
が分裂する。後に「雪薄し」の五文字を「明けぼのや」に変えて完成した。
句碑