闇の夜や巣をまどはして鳴くちどり

        元禄四年(一六九一)四十八歳の作である

 

句意

 

 真暗闇の中で、一度飛び立った千鳥が巣を見失って、悲しげに鳴きまどう

いる。

 

 千鳥は河原や磯際のくぼみに小石や木屑を敷いて卵を産むが、親千鳥が卵を

産み置いた巣を見失ったものと想像し、鳴き声の哀切感にその悲しみの実体を

見ている。

 

句碑

桑名市 浜の地蔵堂