永き日も囀り足らぬひばり哉
貞享四年(一六八七)四十四歳の作である
句意
永い春の日、天高く舞い上がり舞い下りて、朝から晩まで一日中囀り続け、
それでもまだ囀り足らぬかのように、雲雀は小さな体で囀り続けている。
うららかな春の気分の中に、雲雀の天性を捉え、同時に「自得」の境地を深
く見つめている作品である。
「自得」とは「生き物は皆それぞれに天から与えられた性に従って楽しんで生
きている」の意であり、荘子哲学から出た自然観である。
句碑
桑名市 了清寺