三日月に地は朧なり蕎麦の花
元禄五年(一六九二)四十九歳の作である
句意
「三日月や地は朧なる蕎麦畠」ともある。
広々とした蕎麦畠に見わたす限り咲き続く白い花が、夕空にほっそりと懸かる
三日月の光に淡く照らされて、地上は一面にほの白く、おぼろに霞みわたって
いるようだ。
飄々とした趣深い風景句であり、深川界隈の実景と思われる。
句碑にある「三日月の地はおほろなる雪見草」はこの句をもとにした変句と思
われる。
四日市市垂坂町 観音寺