文月や六日も常の夜には似ず

        元禄二年(一六八九)四十六歳の作である

 

句意

 

 七月も今日は六日。明日の夜は花やかな七夕だと思うと、今宵から空の星、

人の有様にも何やらふだんの夜とはどこか違った、なまめいた趣きが感じられ

る。

 

 

 七月六日夜、直江津の宿で土地の俳人と巻いた連句の発句である。

「六日も」で言外に翌日の七夕祭をこめ、ほのぼのとした艶の余情を捉えて

る。

「文月」は旧暦七月で、七夕月、星合月ともいう。

 

 

菰野町湯の山温泉 三岳寺