雁ゆくかたや白子若松

        元禄三年(一六九〇)四十七歳の作である

 

句意

 

 雁の鳴き渡っていく方角のあのあたりの浜が白子若松であろうか。

 

 

 俳諧七部集の一つである、浜田珍碩編、越智越人序の「ひさご」の中の花見

の部にでている。

曲水、珍碩らと詠んだ中の一つで、曲水の「秋風の舟をこはがる波の音」に続

く付句である。

なお白子、若松は伊勢参宮名所図会ではともに「繁昌の湊」とされ、白砂青松

のイメージを喚起する地名である。

 

   

鈴鹿市若松 緑芳寺      鈴鹿市寺家 西方寺