ほっしんの初にこゆる鈴鹿山

      貞享二年(一六八五)四十二歳の作である

 

句意

 

 一念発起して旅に出ようと決心し、初めて越えていくのが鈴鹿の山だ。

 

 

 出家遁世の初めに、鈴鹿の山を越えて行脚に出たとの意味である。

世を遁れて伊勢の方にまかりけるに鈴鹿山にて、「鈴鹿山うき世をよそにふり捨

てていかになり行くわが身なるらん」による西行の俤があるが万人の身の上に

通う句作である。

なお鈴鹿山は歌枕として近江、伊勢の国境の山であり、鈴鹿の関は古代三関の

一つである。

 

 

関町坂下 鈴鹿峠旧道