鷹ひとつ見付けてうれしいらご崎

      貞享四年(一六八七)四十四歳の作である

 

句意

 

 音に聞く鷹の名所の伊良湖崎に来て、荒涼たる自然の中に、はしなくも一羽

の鷹の飛ぶ雄姿を見つけたうれしさよ。

 

 

 伊良湖崎は渥美半島の突端にあって、太平洋の怒涛が激しく打ち寄せる所で

であるが、鷹の渡来する場所としても知られた歌枕である。

その荒涼たる自然を背景にして、猛々しい鷹の鋭く鳴く声を、いかにも所柄に

適っていると嘆賞した。

 

 

鳥羽市鳥羽一 日和山