うたがふな潮の花も浦の春

      元禄二年(一六八九)四十六歳の作である

 

句意

 

 この二見が浦では、夫婦岩に砕け散る波の花までがめでたい新春を寿いでい

るのだ。この神域の尊さをゆめゆめ疑わない。

 

 

 「潮の花」(波の花)を「春」の縁語として生かして、「うたがふ」「潮」「浦」

とウの頭韻を踏んでいる。

「二見の図を拝み侍り」との前詞がある。神仏の威徳を説くときの常套語で

ある「うたがふな」を生かして、厳かに詠んだ画賛句である

 

 

度会郡二見町 二見館前