月の夜の何を阿古木に啼く千鳥
年次不詳
句意
月夜の阿漕浦に何かもの悲しく千鳥が啼くのが聞こえてくる。まるで平治が
沖で網を引く音のようにも思える。
出典不明であり作句の時期は分からないが、芭蕉が阿漕塚を訪れて詠ったと
言われている。
古来阿漕浦は伊勢神宮にそなえる魚をとる贄所で、殺生禁断の地であった。
伝説では孝子平治が母の病を治そうと禁漁の阿漕浦に網を打ち矢柄という魚を
捕ったが、それが発覚し、簀巻きにされて阿漕浦に沈められたという。
その平治を哀れんだ土地の人が、霊を慰めるため建てたのが阿漕塚である。