梅が香につと日の出る山路哉      

元禄七年(一六九四)五十一歳の作である

 

句意

 

 早春、梅の香の匂う未明の山路を辿っていると、行く手の山の頂から赤い大

きな朝日がのうっと昇りはじめた。

 

 

清爽感あふれる早春の山路の風景を平明な口調で捉えた、「軽み」の代表作で

あり、俗語である「のつと」の語感を巧みに生かしている。

この句は野坡との両吟歌仙での発句である。

 

 

松阪市船江町 薬師寺