Vol.6
1980年にARPを創設したのは、フェリッ
クス・スギルタラージさん。彼自身もダリット出身。牧師としてマドラスのスラム街に赴任するが、貧困にあえぐ住民の救済に動こうとしない協会組織に失望しアメリカに留学する。しかし、ニューヨークのハーレム街でのソーシャルワーカーとして活動する中で
アメリカ社会の最底辺で生きる黒人の状況と、ダリットである自分自身を重ね合わせざるを得なかった。
約束されていた協会でのエリートコースも、家族との生活も捨てて1978年、
農村地帯のダリットの村で活動を始めた。当初は彼を支持するものは一人も
いないどころか、誰一人として彼の声に耳を傾けようとはしなかった。
しかし、都会の豊かな生活を捨て、土間に寝泊まりしながら村人と共に生活
する彼はやがて村人の信頼を得るようになる。
「参加型学習」という言葉が日本でももてはやされてきた。しかし、彼の言う
学びの本質は形ではなく一貫したその思想である。日本から参加した13人
は、到着2日目、カルチャーショックを受けながら感想を述べあった。
たった一日の経験からでも、参加
者からはいくつもの質問が寄せられ
た。しかし、フェリックスさんはすぐに
は答えない。「あなた方がここで暮らす1週間の間に、きっとあなた方自身がその答えや解決の手がかり
をつかむと思っています。あなた方の中にそれらを学び取る力があると信じています。あわてず一緒にゆっくりいきましょう!」
これが「参加型学習」なんだ。
尊敬するフェリックス・スギルタラージ