3.GSいろいろ


(1)ファーストモデル(3180)  1960〜1964年

最初のGSで、諏訪精工舎製。手巻、25石、ロービート。当時の腕時計としては非常に高価(当時の大卒初任給2ヶ月分)で、現存数も少ないためプレミア付きとなっている。非防水の金張りケースで、知らない人が見てもタダの古い時計にしか見えない。全数クロノメーター表記付き(但し社内検査で非公認)。

(2)57GS(430/5722)  1963〜1968年 

57GS(430)
5722Aの初期型で43999の刻印があるタイプ
文字盤にクロノメーター表記あり(勿論非公認)

GSのセカンドモデルで、諏訪精工舎製。手巻、35石、ロービート。ステンレスの防水ケース入りで現代的な外観。5722A(430と同一)と5722Bでは、文字盤の表記からムーブメントに至るまで、細かな差異が多数ある。

(3)62GS/62クロノメーター(6245、6246)  1966〜1968年

GS初の自動巻で、諏訪精工舎製。自動巻(手巻不可)、35石、ロービート。当初62クロノメーター(但し社内検査で非公認)として出ていた機種を、全く同じ内容でGSの一機種(62GS)としても出したもので、当然内容は殆ど同一。現存数はかなり少ないが、人気はGSファースト44GSほどではなく、やや高値といったところ。

(4)44GS(4420)  1966〜1967年

44GS CAP GOLD(4420-9990)
キャップゴールドのものは4420KSと同型のケース入りだが、
通常は9000のSSケース(4520-8000等と類似の形状)入りの物が多い

4420KSクロノメーターと同一設計のムーブメント(4420B)搭載のGSで、第二精工舎初のGSでもある。手巻、27石、ロービート。非常に現存数が少なく、プレミアム付きとなっている。高精度化するにあたり、テンプの大型化(ファーストモデル、57GS)もハイビート化(61GS以降)も行なわずに達成していることから、歴代GSの中でも「最高の出来」と言われている。

(5)61GS(6145、6146)  1968〜1970年

61GS CAP GOLD(6145-8000)
ケースは典型的な8000だが、キャップゴールドのため金色

GS初のハイビートで、諏訪精工舎製。自動巻(手巻も可)、25石、ハイビート(10振動)。いかにも自動巻、というローターの回転感が得られ、巻上効率も良好。曜日(6146のみ搭載)の早送り機構は最初から付いていないので注意。

(6)45GS(4520、4522)  1968〜1971年

45GS(4520-8000)
典型的なGSスタイルで、六角形のフォルムが特色
44GS56GS61GSにも同一形状のケースが存在する

45GS(4522-7000)
変形ケース、濃紺文字盤だが中身は上のものと同一

第二精工舎製。手巻、25石、ハイビート(10振動)。45KSとムーブメントは同一設計(刻印・保証精度のみ異なる)。より高精度の上位機種(V.F.A天文台クロノメーター)にも全く同一のムーブメントが採用されており、数あるGSの中でも精度は折り紙つき。一方、ゼンマイがやや切れやすい欠点も45KSと同様。

(7)56GS(5641、5645、5646)  1968〜1974年

56GS(5646-7000)
薄型ムーブメントを最大限活かした、すっきりしたデザインの7000ケース

56GS CAP GOLD(5646-7010)
こちらは典型的なGSスタイルの7010ケース

最も多数製造されたGSで、諏訪精工舎製。自動巻、25石、ハイビート(8振動)。56KSと同一設計のムーブメントで、やはり自動巻/手巻兼用の機種の中では最も手巻の感触が良い。KS同様に現存数の約半数はこの56GSで、GS唯一の角型ケース入りなどバリエーションも豊富であるが、56KS同様にやはりGSの中では人気はさほどでもなく、最も入手しやすい機種。曜日・日付の早送りが故障しやすいのも56KS同様で、購入時には注意。

(8)19GS:女性用(1964)  1969〜(?)年

女性用のGSはこれ1機種のみ。手巻、23石、ハイビート(10振動)、秒針規制なし(GSでは唯一)。世界初の女性用ハイビート腕時計(1944A)と同一設計で、GS規格を満足するよう特別調整された機種。稀少な割には、女性用ということでさほどのプレミアムはついていない。

(9)61GS スペシャル(6155、6156)  1970〜1972年

通常の61GS(6145、6146)を機構的に小改良し、精度は通常のGS規格を上回る上位機種として登場。諏訪精工舎製。自動巻(手巻も可)、25石、ハイビート(10振動)。目立つ改良点としては、曜日早送り機構が追加されたこと、その他内部の機構でも様々な小改良がなされている。

(10)300mダイバープロフェッショナル(6159)  1968年

61GS(6145)同等のムーブ(6159A)を採用したダイバーウォッチで、諏訪精工舎製。自動巻(手巻も可)、25石、ハイビート(10振動)。厳密にはGSではないが、同じ機械が搭載されているため同列に扱われることが多い。現存数が少なめで、ハイビートの機種の中では高価な部類に属する。

(11)600mダイバープロフェッショナル(6159)  1975年

600mダイバー(6159-7010)
GS表記はないが、中身は紛れもなく61GSスペシャル

300mダイバーの後継機で、こちらも61GSスペシャル同等のムーブ(6159B)を採用。諏訪精工舎製。自動巻(手巻も可)、25石、ハイビート(10振動)。厳密にはGSではないが、同じ機械が搭載されているため同列に扱われることが多い。300mダイバーよりは現存数が多いが、実際に酷使された物が多いためか状態の良い物は少なめ。

(12)61GS V.F.A(6185、6186)  1969〜1975年

61GSまたは61GSスペシャルを更に高精度化した、量産品としては最上位の機種。自動巻(手巻も可)、25石、ハイビート(10振動)。機械式時計としては驚異的な月差±60秒以内を、メーカーが2年間保証したという。前期型(6185A)は61GSと、後期型(8185B、6186B)は61GSスペシャルとほぼ同一のムーブメントが入っている。もともと販売数が少なく非常に高価(通常のGSの2倍)だったため、当然プレミア付きとなっているが、辛うじて入手は可能。

(13)45GS V.F.A(4580)  1969〜1970年

61GS同様、45GSの最上位機種となるV.F.Aが存在する。手巻、25石、ハイビート(10振動)。ムーブメントそのものは通常の45GSと同じものを採用している(刻印と表面仕上げが異なる)。61GS V.F.Aと異なり、単に社内規格のみでなく、天文台クロノメーター同様のニューシャテル天文台の検定も受けているため、61GS V.F.Aより更に生産数が少なく(総計153個)、現物を目にすることは殆どない。

(14)19GS V.F.A:女性用(1984(?))  1969(?)年

これも、19GSの最上位機種。手巻、23石、ハイビート(10振動)。

(15)天文台クロノメーター(4520-8020)  1969年

天文台クロノメーター(4520-8020)
国産機械式腕時計の頂点

天文台クロノメーター(4520-8020)の内部写真
通常は4520のところが、本品は45GS V.F.A用のムーブメント4580
(6姿勢調整の刻印あり)が搭載されており、厳密には天文台ではなく、
45GS V.F.A18Kモデルの代わりに引き続き発売された物である可能性も
考えられる

通常の45GSから特に出来の良いものを選別し、特別調整した上で、ニューシャテル天文台の45日間の検定を受け、合格した73個を18金無垢のケースに組み込んで市販したもの。手巻、25石、ハイビート(10振動)。国産腕時計で天文台クロノメータ検定に合格した市販品は、45GS V.F.A.と本機の計225個のみ。

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