春や来し年や行きけん小晦日
寛文二年(一六六二)十九歳の作である
句意
 まだ年内である十二月二十九日に早くも立春を迎えた。これは春の方が早く来てしまったのか、それとも年が早く過ぎ去ってしまったのであろうか。
 この句は「古今集」の「年の内に春は来にけり一年を去年とや言はむ今年とやいはむ」(在原元方)をふまえた言葉の洒落が感じられる。             なお「小晦日」は「大晦日」の前日の十二月二十九日をさし、立春は新年になって迎えるのが普通だが、この時のように十二月末に来ることもある。 
上野市 前田教育会(蕉門ホール)
MENU MENU1