月ぞしるべこなたへいらせ旅の宿
寛文三年(一六六三)二十歳の作である
句意
 折から照っているこの月がよい道案内です。さあお宿をいたしましょうからお入り下さい
 この句は初期の貞門俳諧の影響が大きく、この頃流行した謡曲をもとにした句の代表的なものと思われる。謡曲鞍馬天狗」には「夕を残す花のあたり、鐘は聞えて夜ぞ遅き、奥は鞍馬の山道の花ぞしるべなる、こなたへ入らせ給へや」の「花」を「月」に置き換え、「入らせ給へ」の「給へ=給べ」に旅を掛けた技巧がある。また謡曲では「牛若丸」に呼びかけているが、ここは「旅人」として指している
上野市 JR伊賀上野駅 上野市西明寺 サンピア伊賀
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