香ににほへうにほる岡の梅の花
  貞享五年(一六八八)四十五歳の作である
句意
 うに(泥炭)を掘っている岡のあたりは、土を掘る荒々しい人々、掘られている黒い土、そしていやな臭いなどむさくるしくいやなところである。けれどそこに咲いている梅の花よ、悪臭い香りをふきとばして好い香を放っておくれ。
 この句は蓑虫庵での題詠である。                    土芳の「横日記」には「或夜翁ありて口なきことども言出て、此国のうに珍らしと杉原取って 伊陽山家にうにという物有り。つちのそこよりほり出て薪となす。石にもあらず木にもあらず黒色にしてあしき香あり。そのかみ高梨野也是をかがなべて曰く「本草に石炭と云物侍る、いかに言伝へてこのくににのみ焼ならはしけんいと珍し」 かににほへうにほる岡の梅の花 此一紙我草庵に残る」とある
上野市古山 市場寺 名張市蔵持町 長慶寺
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