初しぐれ猿も小蓑をほしげ也
  元禄二年(一六八九)四十六歳の作である
句意
 山路を歩いていくと折柄初時雨がはらはらと降りかかってきたので蓑を身にまとった。ふと見ると樹上に小猿がうずくまってぶるゝとふるえているではないか。そしてその小猿もいかにも小蓑を欲しそうな様子である。
 山中の樹上か岩頭に猿が濡れながらうずくまっているのを見ての感慨で、「猿も」と言ったのは翁一行が蓑を着ていたと思われる。                そしてこの句からも猿に対する芭蕉翁の心情の暖かさが感じられる。
大山田村阿波 長野峠小公園 大山田村阿波 長野峠小公園
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