時雨をやもどかしがりて松の雪
寛文六年(一六六六)二十三歳の作である
句意
 初冬の時雨が降ったり止んだりして、一向に不安定な空模様のの状態をもどかしく思ったのだろうか、松は一気にこの真っ白な雪をかぶってしまった。
 芭蕉が宗房と号していた青年期の作である。                     僧慈円の「わが恋は松を時雨の染めかねて真葛が原に風さわぐなり」の歌が芭蕉の心にあって、「松」に「待つ」を掛け、雪を待つ意味を表している。     「時雨」は初冬から降る冷雨のことで、連歌、和歌の世界では木々を紅葉させるものとされてきた。
上野市 くれは水辺公園
MENU MENU1