家はみな杖にしら髪の墓参
元禄七年(一六九四)五十一歳の作である
句意
 今日は一家の者がうち揃ってお盆の墓参りをするのであるが、誰も彼もが皆老い衰えてしまって、ある者は腰が曲って杖にすがり、ある者はすっかり白髪頭となっている。
 元禄七年七月、芭蕉翁は当時大津にいたが兄半左衛門から帰ってくるようにとの便りがあり、故郷での盆会を営む為に久しぶりに上野へ帰省した。                                兄も姉もその他一族の人たちの齢傾き身衰えた中に交った翁自身も、それらの人々の姿を通して己も漂白の旅の中にいつしか老いてしまったことを、しみじみと痛感したのであろう。
上野市農人町 愛染院
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