よくみればなずな花さく垣ねかな
貞享三年(一六八六)四十三歳の作である
句意
 なずなの花というのは、ほとんど人の目につかない垣根などにつつましく咲くものである。その目立たぬなずなの花を見つけた時の驚きと喜びを深い愛情をもって素直に表現している。初五の「よくみれば」には千鈞の重みがある。
 こうした芭蕉の自然に対する愛情の深さ、とくに大きいものより小さいものに、強いものより弱いものにたいして深い愛情をもって表現している句も多い。
上野市西日南町 蓑虫庵
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