旅人と我名よばれん初しぐれ
貞享四年(一六八七)四十四歳の作である
句意
 今日からは自分は人から「旅人」と呼ばれて行こう。時雨の「空定めなきけしき」が「身は風葉の行く末なき心地して」を呼びおこして、「旅人」の感慨を表している。
 芭蕉が帰郷を思い立ち、その旅立ちに際して、其角亭で門人が餞別会を開いたときの句である。                         「野ざらし紀行」より三年。芭蕉の名声が高まり、その精神的な余裕が大きくなっている。「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、・・・」等尊敬する先人達を意識するほどの心境か。
 上野市長田 芭蕉の森
MENU MENU1