閑かさや岩にしみいる蝉の聲 | ||||||||
元禄二年(一六八九)四十六歳の作である | ||||||||
句意 | ||||||||
山寺の境内は寂莫として静まりかえり、物音一つも聞こえない。折からその寂莫を破って蝉が鳴きだした。まだ初蝉のころで一匹の蝉であったのだろう。けれども全山の静寂はそれで破られた。じっと耳をかたむけていると、蝉の声はその静寂にとけこみ、岩の中までしみいっていくように感じられる。 | ||||||||
「奥の細道」の中で最も優れた句の一つといわれる。 立石寺に詣でて詠んだ句であり、初案は「山寺や石にしみつく蝉の聲」であり、後には「さびしさや岩にしみ込む蝉の聲」となり、推敲を重ねてこのかたちになったのは、だいぶ後のことである。 | ||||||||
句碑 | ||||||||
上野市長田 芭蕉の森 | ||||||||
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