高水に星も旅寝や岩の上
元禄六年(一六九三)五十歳の作である
句意
 この夜は年に一度牽牛と織姫の二つの星が、天の川を渡って逢う夜であるのに生憎大雨が降って、その相合う場所もなく、小野小町の歌にも詠まれているように、二つの星も高水(大雨)の引くのをまって、岩の上で旅寝をしていることであろう。
 「元禄六、文月七日の夜、風雲天に満ち、白浪銀河の岸をひたして、烏鵲も橋杭を流し、一葉梶を吹き折る気色、二星も屋形を失ふべし。今宵なほ、ただに過さんも残り多しと、一燈かかげ添ふる折節、遍照、小町が歌を吟ずる人あり。これによってこの二首を探りて雨星の心をなぐさめんとす」との前詞がある。
上野市岩倉 岩倉峡広場
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