雲とへだつ友かや雁の生き別れ
 寛文十二年(一六七二)二十九歳の作である
句意
 今自分は友と別れ、この古里を出て江戸の方へ去ろうとしている。丁度渡る雁のわかれのように、雲を遠く隔てた生き別れのようなものだ。
 芭蕉をも雁と見なし、また友(孫太夫)をも雁と見なして、ふたつの雁が同じ空を相連れて来たが、今は道を異にして雲と相隔つという際の感慨を述べたものか?「雁の別れ」に「仮の別れ」の心がかくされている。
上野市長田 芭蕉の森
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