やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
元禄三年(一六九十)四十七歳の作である
句意
 地上に現れてからは一週間の命といわれている蝉であるが、幻住庵でこの勢いの良い鳴き声を聞いていると、とてもそんなはかなさは伝わってこない。しかし、それこそがまさに「無常」というものであろう。
 幻住庵で秋之坊に示した句である。                   前詞に「無常迅速」とあるとおり、この頃芭蕉は佛頂上人の影響から仏教への傾斜、殊に乞食僧への共感が強い。
上野市長田 西蓮寺
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