手に取ら消えん涙熱き秋の霜

        貞享一年(一六八四)四十一歳の作である

 

句意

 

 母のこの白髪は、秋の霜のように、手に取ったら私の涙で消えてしまうだろ

う。それほど自分の悲しみは深く、その涙は熱いのだ。

 

 

 前年亡くなったばかりの母を悼む哀切の情が伝わってくる。そして季語で

る「秋の霜」で亡き母の白髪を隠喩している。

上五は八音の字余りになっている。

 

 

阿山郡伊賀町上柘植 JR柘植駅前

 

 

MENU        MENU1