春なれや名もなき山の薄霞 | ||||||||
貞享二年(一六八五)四十二歳の作である | ||||||||
句意 | ||||||||
ああ春だなあ。今朝も旅をつづけて行くと、いつもならば見過ごしてしまうような何の見どころもない平凡な山に、朝霞が刷毛ではいたように薄くかかっているではないか。なんとなく心がひかれることだ。さすがは春だからであろう。 | ||||||||
「奈良に出る道のほど」という添書きがあり、芭蕉翁の奈良入りのコースは上野を発って島ヶ原から大河原を経て笠置で川舟に乗り、膳司(笠置)で舟を上っての奈良坂越えであったらしいことからすると、早朝の出発と思われるので、上野を離れて間もない伊賀の国で詠んだものと考えられる。 | ||||||||
句碑 | ||||||||
上野市三軒家 旧奈良街道脇 | 上野市 くれは水辺公園 | |||||||
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