服部土芳
人の心見ゆるさくらの透もかな
享保七年(一七二二) 六十六歳の作である
句意
 満開のさくらを見に福生寺を訪ねた。そこには旅の僧が花を見ている。聞くと播磨より来たらしい。満開のさくらが日に透けているように、この二人の僧の心のうちも見透かせてみたいものだ。
 土芳の「庵日記」に「三月十六日御旅所隣に招かれてよ所ながら花見し侍るに高畑福生寺のさくら見んと行に木のたけ三、四間竪横三十歩斗と今盛なり。書を屓ねたる旅僧二人花に立、問へば去年はりまより出て方々廻りて今日爰に有と云。古人柴荷て書をみる此僧もいかなる人か」との前詞がある。
上野市高畑 福生寺
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