笠島はいづこ五月のぬかり道
元禄二年(一六八九)四十六歳の作である
句意
実方中将の墓があるという笠島はどのあたりだろうかと、はるかに遠く見や
りながら、五月雨にぬかるんだ泥道をあえぎつつ過ぎゆく自分である。
五月雨の悪路に難渋する旅愁が、流離悲劇の貴公子、実方中将への追慕の情
に微妙な陰影を添えている。
句碑
大垣市船町 水門川沿街路
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