蚤虱馬の尿する枕もと
元禄二年(一六八九)四十六歳の作である
句意
この辺鄙な山家では、一晩中蚤や虱に責められ、おまけに寝ている枕元に馬
の小便の音まで聞こえるという、散々な目にあったことだ。
風雨に災いされて辺境の逗留を余儀なくされたいらだち、わびしさなどの感
情を蚤や虱には食われ、寝ている部屋に馬の小便の音まで聞こえてくる山中陋
屋の実情に即して形象化している。
尿、シトはふつう、子供の小便で、動物の小便はバリというが、ここでは尿前
の関にひっかけてシトと読ませ、人と同居するに等しい馬を人並みぬ扱ってユ
ーモア化している。
句碑