五月雨をあつめて早し最上川
元禄二年(一六八九)四十六歳の作である
句意
長い五月雨の期間中に長大な流域に降った、厖大な雨量を一つに飲みこんで
増水した最上川が、濁流滔々、すさまじい勢いで流れ下っている。
「あつめて早し」に、日本三急流の一つである最上川の増水時の量感と速度
感があふれている。
初案は「あつめて涼し」で、五月二十九日に大石田(山形県)の高野一栄亭に
おける歌仙の発句である。
その後最上川下りの舟に乗った実感に即して、早川としての伝統的景趣に焦点
を当てて「あつめて早し」とした。
句碑