一つ家に遊女も寝たり萩と月      

元禄二年(一六八九)四十六歳の作である

句意

 

 出家姿の自分と同じ宿に、はからずも花やかな遊女が泊り合せて寝ている。

田舎宿の庭の萩の花に、冴えた秋の月が照るのにも、似ている。

 

 

 七月十二日、市振(新潟県青海町)の宿屋でのこととなっている。

 

「萩と月」で花やかな遊女と風雅の世捨人芭蕉自身を象徴している。

また「寝る」は萩の縁語的措辞であり、艶の余情が濃い。

 

句碑

 

大垣市船町 水門川沿街路

 

 

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