石山の石より白し秋の風
元禄二年(一六八九)四十六歳の作である
句意
那谷寺境内の白く曝れた石山を吹きめぐる蕭殺たる秋風は、この石山の石よ
り白々として、底知れぬ物悲しさを帯びていることよ。
「那谷の観音に詣づ」との前詞があり、八月五日、境内が全山白っぽい石英
粗面岩の奇岩怪石、洞窟から成り、奇勝清閑で知られる古い霊場である、小松
市那谷町の那谷寺に参詣した。
石山に秋風の吹く寂寥感を鋭く感覚的に表現している。古来、秋風は「素風」「白
風」ともいい、その白の感覚を石の白さにオーバーラップさせている。
句碑