清滝や波に散り込む青松葉      

元禄七年(一六九五)五十一歳の作である

句意

 

 幽邃な清滝渓流の青い波の中に、強い風に吹き散った岸の松の青葉がはらは

らと散り込んでいる。

 

 

死の三日前、大坂の病床での改案である。

大坂の園女亭での発句「白菊の目に立てて見る塵もなし」の「塵なし」など類

想の難があるとし、「是れも亡き跡の妄執と思へば・・・」と語って改めたとい

われている。

 

初案は「清滝や波に塵なき夏の月」とあり、落柿舎滞在中の吟である。

初・改案とも清滝の清涼感が主題となっている。

 

句碑

 

右京区嵯峨鳥居本 落合橋傍    右京区嵯峨鳥居本 落合橋畔

 

 

MENU        MENU12