春雨の木下につたふ清水哉
元禄一年(一六八八)四十五歳の作である
句意
岩間から滴り落ちるこの清水は、しめやかな春雨が花の梢をぬらし、幹を伝
い、樹々の下を辿り流れてきた、その花の雫なのか。
「苔清水」との前詞があり、吉野の奥、西行庵旧蹟の傍らにある「とくとく
の清水」での作である。
西行ゆかりの苔清水の源を、花の雫と見て、美しい想像を働かせている。
吉野町吉野山奥千本 苔清水
MENU MENU9