菊の香や奈良には古き仏達

元禄七年(一六九四)五十一歳の作である

句意

 

 清浄な菊の香りの漂うこの奈良には、遠い昔から多くの仏達が慈顔うるわし

く鎮座しておられることだ。

 

 

 九月九日、奈良で重陽の節供を迎えての吟である。

 

菊の香と古都の古仏との間に微妙に通い合う匂いを感合させて、古雅な詩的世

界を創り出している秀吟である。

 

 

奈良市東木辻町四九 称念寺

 

 

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