飯貝や雨に泊りて田螺きく
年次不明?
句意
吉野の飯貝というところに泊った。雨が降っている水田や池に田螺がうごめ
いている音が聞こえてくる。
田螺は水底を蠢動して自分の道を描いていく習性がある。
句碑表に「芳野を下る時」の前書で句を記し、横に「芭蕉のよめる句 秋桜子
書」と刻まれている。
芭蕉は前後二回吉野山に遊んだが、その紀行文「野ざらし紀行」や「笈の小文」
に、この句は見られないし、飯貝に泊った記録はない。ただ井上重厚の「もと
の水」にこの句が出ている。
吉野町吉野山飯貝 本善寺
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